第595章 またしても大物の友人

中村お父さんも我慢できずに中村楽を責めた。「中村霜が昔あなたに悪いことをしたとしても、もうこれだけ時間が経ったんだから、水に流すべきだろう」

松本旻たちは顔を見合わせた。

「中村楽が中村霜に悪いことをしただけで、人は死んでないんだから、何を騒いでるんだ?」

中村少華は冷たい目つきで中村お父さんと中村お母さんを見回し、瞳は凍りつき、声は軽蔑的で、非常に危険な様子だった。「恥を知れ?」

中村お父さんの言葉を逆手に取って返したのだ。

空気が凍りつき、殺気が相手側に向かって押し寄せた。

中村お父さんは言葉に詰まり、何も言えなかった。

「中村少華!」中村お母さんは低く吠え、顔色が非常に悪かった。

中村家の他の人々も来ていたが、この時は誰もこの件に介入する勇気がなかった。

中村少華は薄い唇を冷ややかに歪めて「中村霜がどうやって階段から落ちたのか、お前らにはわかってるだろう。俺に対して小細工を使うつもりか?」

中村お母さんは中村少華と中村楽を睨みつけ、胸が大きく上下した。

中村楽は腕を組んで立ち、冷たい雰囲気を漂わせ、口を開く気もなかった。

中村お父さんは今は争う時ではないと悟り、重要なのは中村霜の手を治すことだと分かっていた。

彼は少し黙った後、鈴木月瑠に向かって話し始めた。「鈴木月瑠さん、中村楽も私の娘ですが、中村霜の手が怪我をしたのは事実です。どうか治療をお願いします」

鈴木月瑠はゆっくりと顔を上げた。

中村お母さんももう騒ぐ勇気はなく、深く息を吸って言った。「この件は不問にしますから、娘の手を治してください」

中村少華と松本旻は目を合わせた。

鈴木月瑠は口を押さえてあくびをし、話す気がなさそうだった。

鈴木月瑠が彼らを無視するのを見て、中村お父さんと中村お母さんの顔色は多少悪くなった。

中村お母さんは怒りで体を震わせていた。

中村お父さんはさらに態度を低くして続けた。「確かに私たちが悪かった。二人の娘の間の問題を、親として上手く処理できなかった」

「でも中村霜の手は鈴木月瑠さんにしか治せません。診療費はいくらでも構いません」

彼は鈴木月瑠を見た。

鈴木月瑠はまだ何も言わなかった。

中村お母さんは心の中の怒りを抑えながら、続けて言った。「鈴木月瑠さんが中村霜の手を治してくれるなら、診療費はお好きなだけ請求してください」