メルソンは鈴木月瑠たちを大統領のいる場所へ案内した。
しかし、まだ入る前に、メルソンは振り返って、丁寧な口調で言った。「神医、こちらには規則がありまして、入るには保安検査を受ける必要があります……」
鈴木月瑠はゆっくりと頷いた。
警備員は機器を持って数人に向け、頭から足まで何度もスキャンした。
検査の後、ようやく通してもらえた。
メルソンは鈴木月瑠に対してお辞儀をし、礼儀正しく、鈴木月瑠に相応の敬意を示した。
一行が入ると、鈴木月瑠は習慣的に室内の調度品に目を通した。
壁には価値のある書画が多く掛けられており、角にある一枚の絵に目が留まった時、瞳が一瞬止まった。
一目見て、鈴木月瑠は口元を少し上げた。
「鈴木月瑠さんもあの絵がお気に入りですか?」
メルソンは鈴木月瑠がその絵を見つめているのを見て、説明した。「この絵は国際的な巨匠の手によるもので、蘭という方の作品です。大統領がこの絵を手に入れるのにも、相当な苦労があったそうです。」