こちらでは、鈴木月瑠が一橋貴明のLINEに返信を終えたところで、メルソンの敬意を込めた声が耳に届いた。「神医様、大統領がお会いになりたいとのことです。」
今度は敬称まで付けてきた。
「ケーキを食べ終わらせてください。」
鈴木月瑠はスプーンでゆっくりとケーキを食べ、表情は淡々として、全く急ぐ様子はなかった。
メルソンは口角を引きつらせたが、何も言わなかった。
若い女の子だが、その雰囲気は安定していて、大統領さえも気にかけていない。こんなに面子を立てない人はいない。
数分待って、鈴木月瑠はようやくケーキを食べ終わり、立ち上がってゆっくりと邸内へ向かった。
メルト大統領は大病を経験し、顔色は非常に弱々しく見えたが、その骨の中に秘めた威厳には影響がなかった。
青みがかった瞳の中には、鋭い光が宿っていた。