助手が最後の作品箱を運んできて、一つの巻物を机の上に広げた。
清水秋は期待せずに見たが、その作品を見た途端、表情が一変し、携帯を落としてしまった。
携帯を拾う暇もなく、スタッフを押しのけて、眼鏡を手に取り、その作品に飛びついて見た。
「この作品は……」
清水秋は拡大鏡を持つ手が震えていた。「雲書ではなく、梅花小楷だ。素晴らしい、これこそSランクに相応しい。」
梅花小楷と雲書の風格は異なるものの、この梅花小楷は筆の運びが龍のように流れ、その中に雲書の風采が垣間見える。
他の会長たちも集まってきて、同じように驚きの表情を浮かべた。
「鈴木?」
清水秋は急いで右下の署名を見たが、眉をひそめた。「名前がないじゃないか?」
助手が傍らで言った。「今回の評価に参加した鈴木姓の方は、百八十人以上いますよ。」