第681章 一橋家の若君

彼女が黙っているのを見て、曽良彩子の態度は少し良くなった。「もういいわ、月瑠。あなたが山中さんを好きじゃないのはわかったから、もう強制しないわ。でも、これから競売会があるから、私と一緒に行きましょう。来月はあなたのお祖母さんの誕生日だから、お祖母さんへの贈り物になるような良いものがないか見てみましょう。」

鈴木月瑠は静かにほっとした。

これが初めてだった、養母が妥協したのは。

一方で叩いて、もう一方で飴を与えるというパターンだったが、山中さんに付き合うよう強制されるよりはましだった。

「姉さん、母さんがあなたに配慮してるんだから、あなたも母さんのことを考えなきゃ」鈴木小霜が横から諭すように言った。「私があなたに食べ物を与え、服を着せ、学校に行かせてあげた、この恩を忘れないでね...」