第717章 悪戯

鈴木月瑠はグラスを持つ手が固まった。彼女は一橋貴明について入ってきたのだが、確かに招待状を持っていなかった。

そもそも招待状がどんなものか知りもしなかった。

「お姉さん、招待状もないのにどうしてこんな重要な場に紛れ込めたの?」鈴木小霜は弱々しい表情でため息をついた。「あなたが今は一橋グループの子会社のマネージャーだってことは知ってるわ。でも自分の心の中では、そのマネージャーの地位がどうやって手に入れたのか分かってるはずよ。忠告するけど、手っ取り早く成功しようとするのはやめなさい。そうしないと、いつか必ず転落するわよ」

鈴木月瑠は怒りで笑いそうになった。

悪意を持った人にこんな風に諭されるなんて、この世界はあまりにも魔幻的だった。

彼女は冷笑いを浮かべた。「自分のことを心配したほうがいいわ。結局、あなたの方が転落する可能性が高いんだから」