第31章 私にはそんな不肖の弟子はいない

高倉海鈴は谷口敦の表情を一瞥して、この男の思考回路がまた宇宙まで飛んでいったことを悟った。

彼女は足を引っ込め、ゆっくりと一歩前に進み、高倉彩芽の目をじっと見つめた。「それに、私を傷つけようとした人のために弁護するなんて、どこからそんな勘違いが生まれたの?一番重要なのは、田中晴香があなたに唆されて私に手を出したんでしょう?謝るべきなのはあなたじゃない?」

高倉海鈴は片手で高倉彩芽の顎を持ち上げ、彼女の細かな表情の一つ一つを丁寧に観察した。

「あなたは言葉の端々で田中晴香を誘導して、私が整形したと思い込ませようとしたわね。でも、私が整形したかどうか、あなたが一番よく知っているはずでしょう?この前も楽器店で会ったばかりじゃない」

どんな整形外科でも、わずか二、三日で完治させることなどできない。

谷口敦は目を瞬かせた。整形?

高倉さんのこの顔が整形を必要とするわけがない。

周りの人々の高倉彩芽を見る目が変わってきた。

周囲の視線に気づいた高倉彩芽は、もう立っていられないほどだった。なぜこうなってしまったのか。本来なら高倉海鈴が社会的に破滅するはずだったのに、なぜ最後は自分に跳ね返ってきたのか!

高倉彩芽は唇を噛みながら、白い小さな顔に委屈そうな表情を浮かべた。「お姉様、ごめんなさい。私はただあなたの変化にびっくりしただけで、他意はありませんでした。まして、あなたが整形したと他人に思わせようとしたわけでもありません……」

そのとき、藤原涼介が慌てて駆けつけてきた。彼は真っ先に高倉海鈴の手を払いのけ、高倉彩芽をしっかりと後ろに庇った。「高倉海鈴、またお前は彩芽をいじめているのか!お前はなんて性悪なんだ!」

谷口敦は黙っていられなかった。彼は一歩前に出て藤原涼介と対峙した。「藤原涼介、お前バカか?状況も分からないのに高倉さんが悪いって決めつけるな」

「敦?なんでここにいるんだ?」

「当たり前だろ、俺がいなかったら高倉さんがお前らにいじめられて死んでたよ」

谷口敦は不機嫌そうに言った。「それと、俺のことを敦って呼ぶな。お前とは親しくないから」

一人また一人と、藤原徹の顔を立てなければ、この頭の悪い藤原涼介なんか相手にしたくもなかった。