第32章 最大で最強のやつ

高倉海鈴は谷口敦と一緒に理事長の執務室へ向かった。

谷口敦は親切にお茶を注いで彼女の前に置いた。「高倉さん、来る前に一言言ってくれれば、正門まで迎えに行ったのに。」

「必要ないわ。初めてじゃないし。」高倉海鈴はお茶を一口飲みながら、谷口敦のぶつぶつ言う声を聞いていた。「今回は山内正の身分で大会に出席するなんて、表に出る気になったの?師匠がこれを知ったら、きっと喜んで気が狂うんじゃないかな。」

谷口敦と高倉海鈴は同じ師匠に師事していた。

ただし、彼は父親のコネで無理やり師匠の元に入れてもらったのに対し、高倉海鈴は師匠が一年かけて追いかけ回して、やっと內弟子として受け入れた弟子だった。

身分の上下関係は一目瞭然だった。

そのため、谷口敦は名目上高倉海鈴の先輩弟子だが、実際には彼女を兄貴分として慕っていた!