谷口敦は躊躇なく手を上げた。「木村校長、食事は適当でもいいですが、発言は慎重にすべきです。山内先生はいつ高倉彩芽を弟子として認めたというのですか?」
木村校長は「でも以前は...」
「以前は以前、今は今です」
谷口敦は真面目な表情を見せた。「山内先生は私の紹介で東京大学の臨時講師として来ていただいたのです。学生を指導するのは教師としての責任です。もし山内先生に指導を受けた学生全員が弟子を名乗るなら、山内先生は対応できないでしょう」
山内先生の代講の情報は限られた範囲でしか知られておらず、オンライン授業のため、学生の前に姿を見せたことはなかった。
藤原徹は高倉彩芽の名前を聞いて眉をひそめた。間違いなければ、高倉海鈴の妹が高倉彩芽だったはずだ。
木村校長は谷口敦に言い負かされ、苦笑いしながら「はい、はい、私が間違っていました。軽率な発言でした」と謝った。