高倉彩芽のデザインがあまりにも素晴らしかったからこそ、審査員たちの心を掴み、一位を獲得したのだ。
藤原徹も高倉彩芽のデザイン画を見た。確かに美しいが、なぜか彼女の作風とは違和感があるように感じた。
だから彼は、高倉彩芽に投票しなかった。
そして高倉海鈴は、このデザイン画について次のように評価した。「デザインの道は険しく、デザイナーたちは努力を重ね、オリジナリティを守り続けなければならない」
名剣は研ぎ出されて鋭くなり、梅は寒さを経て香り高くなる。
努力を続ければ、必ず自分の道が開かれる。
しかし残念なことに……
この道で、近道を選ぶ人が多すぎる。
高倉彩芽は、高倉海鈴が山内正だと認めた瞬間から呆然としていた。いや、まさか、彼女が山内正のはずがない!
「なぜ皆さんが高倉彩芽を私の弟子だと言うのかわかりませんが、東京大学の非常勤講師として、確かに彼女に指導したことはあります。彼女のファッションデザインの才能は素晴らしいものでした」