第52章　姉さんはそんな人じゃない

もちろん、すべての学生が高倉海鈴が愛人だと信じていたわけではなく、以下のような反論をしていた。

【でたらめを言わないでよ。写真2枚だけで何がわかるの？】

【そうよ、高級車を見ただけで愛人だなんて。あなたたちみたいに、お金持ちを見たら飛びつくと思ってるの？】

【私はあのおじさんはただの運転手だと思うわ。山内先生が後部座席から降りてきたのを見なかった？もし本当に愛人関係なら、山内先生が後部座席に座るはずないでしょう？】

この投稿はすぐに人気トピックとなり、ほとんどの学生が議論に参加し、返信は瞬く間に数百件から数千件に膨れ上がった。

高倉海鈴は間違いなく愛人だと主張する人もいたが、より多くの学生は必要ないと感じていた。高倉海鈴は金も顔もあるのに、なぜ誰かの愛人になる必要があるのかと。

生活指導主任がこの件を知って事態の深刻さを悟り、急いで学長に対処法を相談しに向かった。しかし、まだ目的地に着かないうちに、教室棟の外に多くの学生が集まっているのを目にした。

「彩芽、お姉さんは本当に誰かの愛人になったの？」

「聞いたわよ、お姉さんは田舎から来たんでしょう。やっぱり田舎者は視野が狭いのね？山内先生という立場があるのに、お金のために自ら堕落して年上の男と付き合うなんて。」

「彩芽、もし投稿の内容が本当で、高倉海鈴が本当に愛人になっているなら、あなたたち止めるべきじゃない？結局は高倉家の恥になるわよ。」

高倉彩芽は彼女たちに囲まれ、下唇を噛みながら、何か言いづらそうな様子で：「お姉ちゃんは...最近確かに家にほとんど帰ってこなくて、お父さんの電話にも出ないんです...でも誤解しないでください、お姉ちゃんには何か事情があるはずです。投稿の内容は絶対に本当じゃありません。」

田中晴香が傍らで叫んだ：「彩芽！こんな時でもまだ高倉海鈴をかばうの？高倉海鈴なんて田舎から来ただけの野暮ったい人よ。東京で誰を知ってるっていうの？家に帰らないならどこに住んでるの？だから絶対愛人になったのよ。お金持ちの囲い者になって、もう高倉家なんて必要ないから、お父さんの電話にも出ないんでしょ！」