第53章 私はあなたの妹なのに

【うわ、こんな若いのに、こんな悪意に満ちた考えを持って、自分の姉を人身売買業者に売ろうとするなんて、恐ろしい、本当に恐ろしい。】

【まさに現実版の農夫と蛇だわ!高倉彩芽は姉のことばかり考えて、姉が困ったときも必死に守ろうとしているのに、彼女は知らないの、自分が真心を向けている姉が、彼女に死んでほしいと思っているなんて!】

【だから高倉海鈴は誰かに囲われているんでしょう?今まで生きてこられたのも、男に頼っていたんじゃないかしら。私、前から不思議に思っていたの。なぜ田舎出身の高倉海鈴が、突然、世界的な服飾デザイナー山内正になれたのかって。今になって分かったわ、この世界的デザイナーという肩書きも、かなり水増しされているのね!】

田中晴香はサブアカウントで高倉海鈴を批判するコメントすべてに「いいね」をつけてから、メインアカウントに切り替えて、スマートフォンをクラスメートの前に差し出した。

「ねえ見て、高倉海鈴って田舎育ちでしょう?どうやってデザインを学んだの?しかも、学生時代の成績はすごく悪かったって聞いたわ。田舎は貧しいし、教育レベルも低いでしょう。私が思うに、彼女がデザインを学べたのは、たくさんの年上の男性たちがバックについていて、お金で無理やり押し上げたからじゃないかしら」

「私は田舎の人を軽蔑しているわけじゃないし、貧しい人を見下しているわけでもないわ。ただ、貧しくても志は持つべきだと思うの。高倉海鈴みたいに、お金のために男性と寝るなんて、私は到底認められないわ。そんな人が私たちのデザイン学科の先生になるなんて絶対に受け入れられない。今すぐ学長室に行って告発するわ!高倉海鈴を解雇させましょう!」

田中晴香は正義感に溢れた口調で言い、他のクラスメートたちも動揺し始めた。

高倉彩芽の目に得意げな色が浮かんだが、表面上は偽善的に制止した。「やめて、そんなことしないで。姉さんの人生を台無しにしちゃう。やっとここまで来られたのに……」

怒り狂うクラスメートたちを見ながら、高倉彩芽は心の中で考えた。これで高倉海鈴は言い訳できないでしょう。証拠は明白なのだから。そして事件後、自分が高倉海鈴の側に立ち続け、高倉海鈴を信じる姿勢を固く示すことで、評判を回復できるだけでなく、みんなの同情も得られる。