第58章 警告処分

藤原徹と高野広の姿がドアの外に消えると、田村校長は額の冷や汗を拭い、携帯を取り出して教務課に急いで命令を下した。

「高倉彩芽さんは掲示板で教師を誹謗中傷し、デマを流したため、警告処分とします。再犯の場合は退学処分とします。全学生は戒めとし、校内掲示板は学生同士の友好的なコミュニケーションの場であり、悪意を持って世論を操作し、他人を攻撃する道具ではありません!」

教務課の教員は戸惑いながら「校長、高倉彩芽さんを処分するんですか?彼女と藤原涼介との関係を考えると...」

「余計なことは言うな。言われた通りにしろ」

藤原涼介など何の意味もない。藤原家は今や藤原徹が仕切っているのだ!

高倉彩芽はまだ藤原家に嫁いでいない身、藤原徹と婚姻届を出した高倉海鈴には及ばない。

藤原徹が本部棟を出ると、玄関で急いでやってきた谷口敦と出くわした。

「先輩、海鈴は来てないんですか?」谷口敦は藤原徹の後ろを見たが、高倉海鈴の姿は見当たらなかった。

「用件は?」藤原徹は冷ややかな目つきで言った。

「僕は別に用事はないんですが、海鈴に頼まれたことがあって。東京大学の二十年前の記録を見たいって...あなたは東京大学の理事で、しかも海鈴の正式な夫なのに、なぜ彼女はあなたに頼まずに僕に助けを求めたんでしょうね?」

「彼女が東京大学の記録を調べるように頼んだ?」藤原徹は上顎を舐めた。「谷口敦、君と海鈴はそんなに親しいのか?正式な夫である私を飛び越えて、君に助けを求めるほどに?そうなのか?」

谷口敦は「???」

この展開はおかしい!

藤原徹はゆっくりと彼に迫った。「どうだ?君と海鈴はそれほど親しいのか?」

谷口敦は唾を飲み込み、どもりながら口を開いた。「藤、藤原さん、理不尽なことを言わないでください。海鈴は私の後輩で、いつも話している後輩なんです!付き合いの長さで言えば、私の方があなたより長いんですよ。彼女が何かあった時に最初に私を頼るのは当然です。それに...結婚後の海鈴への接し方を反省すべきじゃないですか?彼女があなたではなく私を頼るようになったのは、そのせいかもしれません!」