「藤原徹、私は学生の資料を見たいだけなのよ。違法なことをするわけじゃないでしょう?少し融通を利かせてくれない?」高倉海鈴は指をポキポキと鳴らした。
「藤原奥様、東京大学の資料は理事会メンバー以外は閲覧権限がないことをご存知でしょう。もちろん、お急ぎでなければ、教員として申請を提出することはできます。学校側で理事会の投票を経て、過半数の同意があれば、奥様はご希望の資料をご覧になれます」
高倉海鈴は「……」
さらに腹立たしいことに、藤原徹はスマートフォンを取り出して言った。「申請書を送りましょうか?ああそうそう、前回も教員が資料の閲覧を希望していましたが、申請を提出した直後に理事会で否決されましたよ」
高倉海鈴は血が上った。「嘘つき!高野広さんは先日東京大学の資料を見たじゃない。どうして彼はいいのに私はダメなの!」