第173章 愛の証

藤原徹は宝石箱からダイヤモンドの指輪を取り出し、高倉海鈴の指にはめてから、彼女の手を引いて立ち去った。

高倉海鈴は眉を上げて不思議そうな表情を浮かべた。

何も言わないの?

指輪をはめただけで終わり?愛の告白とかないの?

高野広:「……」ちょっと待って、もう一つの男性用の指輪は?

社長はなぜペアリングだと言わないの?

……

二日後。

高倉海鈴はオーディションに行くことを誰にも告げず、谷口敦と監督だけがその情報を知っていた。

彼女が出かけようとした時、藤原徹が近づいて彼女の手を握った。

「指輪を忘れているよ」

高倉海鈴が見下ろすと、藤原徹が彼女の指にダイヤモンドの指輪をはめていた。

彼女には本当に分からなかった。なぜ藤原徹は彼女に指輪を着けさせたがるのか、所有権を主張するためなのか?