第172章 ダサい告白

高倉海鈴はステージを降りた後、意味深げに高倉彩芽を一瞥し、その後すぐに立ち去った。

その一瞥に彩芽は胸がドキリとした。

「涼介兄、渡辺さんが不正をしていたなんて。私が姉さんを誤解していたなんて...姉さんが怒らないといいのですが...」

藤原涼介の目に異色が閃いた。彼は彩芽がただ高倉海鈴が間違った道に進むことを心配していただけだと思い、そもそもこの件で彼女を責めるべきではないと考えた。

「心配しないで。私が海鈴に話して、君に悪意はなかったと伝えるから。彼女は絶対に怒らないよ。」

……

会場の外。

藤原徹は車の中で、口元に微かな笑みを浮かべていた。

高野広は不思議そうに藤原徹を見つめた。奥様があれほど素晴らしい演技を見せたのに、社長はなぜ何の反応も示さないのだろう?

高野副官は自分が何かすべきだと感じた。