第202章 田中さんが来た

「徹、そんなに金川草を持っているなら、村上おじいさまに一株あげても構わないでしょう。人命が大事なのよ!」

藤原の祖父の言葉が終わるや否や、皆が貪欲な表情を浮かべた。

それは金川草なのだ!藤原徹が百株以上も持っているとは!一人一株ずつでも十分なはずだ。

彼らは藤原徹を食い入るように見つめ、藤原の祖父は眉をひそめて言った。「徹、村上おじいさまは私を救ってくれた恩人だ。たとえ心中不満があっても、一株の金川草をあげるべきだ。それに、私も最近体調が悪いから、孝行の意味でも少し分けてくれ」

高倉海鈴は心の中で冷笑した。この藤原の祖父は随分と厚かましい。

藤原徹に金川草を渡させるため、大勢で圧力をかけているのだ。

藤原の祖父と藤原夫人は貪欲な目で藤原徹を見つめていた——

彼は冷たく皆を見渡し、淡々と口を開いた。「持っていません」