藤原の祖父は眉をひそめて叱責した。「藤原家にこんな嫁がいるとは。早く金川草を出せ。村上おじいさまに何かあったら、お前を廃嫡にするぞ!」
田中健は冷たい表情で、口を開こうとした……
高倉海鈴は精巧な袋を取り出し、田中健に渡した。顔には無念と心痛が浮かんでいた。
「田中さん、私が気が小さいわけではありません。金川草は本当にもうないのです。その金川草は藤原徹にも使うはずでしたが、今は全て台無しになってしまいました。私にはどうすることもできません!」
田中健は袋を開けて見ると、中には粉々に砕かれた金川草が数本入っていた。
言い終わると、高倉海鈴は悲しげな目で村上真由美を見つめた。
「田中さん、今や藤原徹も金川草で治療が必要なのです……でも一本も残っていません。村上の祖父にどうやって差し上げられるでしょうか。金川草は成長する前に全て押しつぶされてしまったのです。」