第203章 彼女は大変なことをしでかした

藤原の祖父は眉をひそめて叱責した。「藤原家にこんな嫁がいるとは。早く金川草を出せ。村上おじいさまに何かあったら、お前を廃嫡にするぞ!」

田中健は冷たい表情で、口を開こうとした……

高倉海鈴は精巧な袋を取り出し、田中健に渡した。顔には無念と心痛が浮かんでいた。

「田中さん、私が気が小さいわけではありません。金川草は本当にもうないのです。その金川草は藤原徹にも使うはずでしたが、今は全て台無しになってしまいました。私にはどうすることもできません!」

田中健は袋を開けて見ると、中には粉々に砕かれた金川草が数本入っていた。

言い終わると、高倉海鈴は悲しげな目で村上真由美を見つめた。

「田中さん、今や藤原徹も金川草で治療が必要なのです……でも一本も残っていません。村上の祖父にどうやって差し上げられるでしょうか。金川草は成長する前に全て押しつぶされてしまったのです。」

田中健が砕けた金川草を取り出すと、皆ははっきりと金川草が形を留めていないほど砕かれているのを見た。

彼は顔を曇らせて言った。「破壊されたのか?誰がそんな大胆なことを?」

藤原徹は口元をわずかに歪めた。

彼は心の中でよく分かっていた。田中健は入室した時点で高倉海鈴を認識していたが、ただ認めなかっただけで、彼女と共にこの芝居を演じていたのだと。

村上真由美は田中健の手の中の草を見て、突然胸が締め付けられた。

その後、高倉海鈴はため息をついて言った。「田中さん、私は金川草を渡道ホールの裏庭に植えて、ずっと丹精込めて育てていたのですが、あの日、村上さんが車で突っ込んできて、それで……」

「その時、管理人が必死に止めようとしましたが、村上さんは全く聞く耳を持たず、私が直接育てていたと知ると、わざと全ての金川草を踏み潰してしまいました。一本も残っていません。もしご不審でしたら、裏庭の監視カメラの映像をお見せできます。」

村上真由美は全身を震わせ、足がふらついた。

何?

彼女は信じられない表情を浮かべた。

高倉海鈴は、自分が踏み潰したのが金川草だと言っているの?