第207章 人を見かけで判断できない

藤原財閥。

高野司が入ってきた。「社長、先ほどお電話をされていた時に、奥様から電話がありました。」

彼は一瞬躊躇してから、携帯を藤原徹に渡し、気まずそうに言った。「奥様が...あなたからのプレゼントを受け取ったそうです。」

高野司は、そのプレゼントが高野広が社長の名義で送ったものだと知っていたが、あの小僧が一体何を送ったのか知らなかった。まさか奥様が突然電話をかけてくるほどのものとは。

藤原徹は一瞬固まり、高野司から携帯を受け取った。高野司はすぐに気を利かせて退室した。

「もしもし。」

高倉海鈴の声が少し震えていた。「あれは、あなたが送ってきたの?」

藤原徹はドレスを注文したばかりで、そんなに早く届くはずがない。だからドレスのことではないはずだ。

少し考えてから、ふと思い出した。あるアパレルブランドが藤原家と商談をしていて、新作の婦人服をいくつか送ってきた。全て高倉海鈴のサイズに合わせて作られたものだ。きっとそれらの服のことだろう。

藤原徹は何気なく答えた。「あるブランドから送られてきたものだ。全て君のサイズで作られている。君が自分でデザインしたものほど良くないだろうが、我慢して着てくれ。」

高倉海鈴:「...」こんな誘惑的なナイトウェアなんて、私デザインしないわよ!

彼女はベッドに広がる薄手の衣装を見回して、ため息をついた。「もう一度聞くけど、本当にあなたが送ったの?」

藤原徹は口元を緩ませた。「ああ、気に入らないか?」

厚かましい男ね!

これのどこが服よ、ただの薄布じゃない。着ても着てないのと同じじゃない!

藤原徹は突然、高野広の言葉を思い出した。良いことをしたら隠さずに、奥様に知らせるべきだと。

彼は少し沈黙した後、微笑んで言った。「いくつかの服は私もデザインに参加したんだ。君が着たら、きっと素敵だと思う。」

高倉海鈴は目を丸くした。

藤原徹がこんなに開放的だとは知らなかった。こんな服のデザインまで参加するなんて?

藤原徹が無表情でデザイナーと服の細部について話し合う様子を想像すると...堂々たる藤原社長の面目は丸つぶれじゃない?

高倉海鈴は息を飲んで、落ち着こうと自分に言い聞かせた。「藤原徹、本当に私に着せる気?」