第214章 遠山初美デザイナー

八尾夢子はドレスを作る時にそこまで考えていなかった。ただ高倉海鈴を人前で恥をかかせたいだけだったが、高倉海鈴はドレスの問題をすぐに見抜いてしまった。

今や事態が露見し、絶対に認めるわけにはいかない!そうでなければ自分のアトリエに影響が出てしまう。

「徹……私は知らなかったの。上質な生地を使ったはずなのに、なぜ裏地が粗布になっているのか分からないわ。私は……」

高倉海鈴は意味深な笑みを浮かべた。「八尾さんは有名なデザイナーで、海外でも名が通っていると聞きましたが、シルクと粗布の区別もつかないのですか?そんなレベルでデザイナーになれるなんて、笑い話ですね!」

藤原明は言葉に詰まり、八尾夢子を弁護する術を知らなかった。

藤原徹は咳払いをして「全部捨てろ」と言った。

執事はすぐに人を呼んでドレスを運び出させた。