第215章 同じ母から生まれた兄弟なのに似ていない

「明、もう言わないで。私は日本に帰るべきじゃなかったの……今、徹はもう結婚してるし、私は彼を探しに来るべきじゃなかったわ」八尾夢子は涙を流し、恥ずかしさと怒りで立ち去った。

藤原明は夢子の後ろ姿を見て、急いで追いかけた。

「夢子姐!夢子姐!」

八尾夢子は声を上げて泣き、藤原明は心を痛めた。「夢子姐、もう泣かないで。あれからずいぶん時間が経ったし、兄さんはもう忘れてるはずだよ。それに、もう結婚してるし」

八尾夢子は涙目で言った。「私は徹のことを分かってる。彼は本当に海鈴のことを好きじゃない。ただ適当な女性と結婚しただけよ。もし本当の愛に出会ったなら、私は邪魔をしないわ」

藤原明は懸命に諭した。「兄さんはあの女性のことを大切にしてるように見えるよ。それに、あの時は夢子姐が自分から去ったんでしょう。今更兄さんを探しに来るのは良くないと思う」

八尾夢子は悲痛な表情を浮かべた。「明、あなたには分からないわ。私は彼を愛してるの……彼と一緒にいられないなら、私の人生に意味なんてないわ。私はずっと友達という立場でいたのに、それでも彼は私のことを怒ってる。私をどうすれば許してくれるのか分からないわ」

藤原明は困り果てた表情で、嗄れた声で言った。「夢子姐、藤原徹を愛してるの?単に会いに来たくて日本に帰ってきただけじゃないの?」

八尾夢子は困惑した表情を浮かべ、藤原明の言葉の意味が分からなかった。

藤原明は非常に驚いて言った。「確かに僕は高倉海鈴のことが好きじゃないし、渡道ホールから出て行けと言ったけど、でも彼女は兄さんの妻だよ。僕には彼女を追い出す資格も権利もない。夢子姐にはなおさらそんな権利はないでしょう。分かってよ!」

八尾夢子の表情が暗くなり、反論できず、ただ黙って涙を流すだけだった。

「明、私には私心なんてないわ。もし徹が本当に海鈴のことを好きなら、私は二人を祝福するわ。でも彼らの結婚は形だけで、いずれこの結婚は終わるはず。それなら今のうちに止めた方がいい。私は全部徹のためを思って!」

「私は第三者になんてならないわ。ただ純粋に徹が幸せになってほしいだけ」

藤原明はやっと安堵の息をついた。「夢子姐、分かってくれて良かった」