第276章 誰が藤原奥様を解雇するの？

高倉海鈴は淡々と笑った。

誰が解雇されるかまだわからないわ！

副学長は二人とも呼び出したのだから、誰を処分するのかまだはっきりしていない。

田中晴香は得意げな顔をしていた。副学長は今回、絶対に高倉海鈴を見逃さないはずだ！

なぜなら、さっき副学長室に行った時、副学長が男と話しているのを見て、高倉海鈴を必ず解雇すると約束したのを聞いたからだ。

二人がドアの前に着くと、田中晴香がノックをした。中から副学長の声が聞こえた。「どうぞ。」

田中晴香は笑いを抑えきれない様子で、「学長、高倉海鈴は大学入試を受けずに裏口入学で教師になりました。学校の風紀を乱すような教師は即刻解雇すべきです！」

副学長は高倉海鈴を見た途端、体が震えた。この方には手を出せないのだ。

藤原社長の警告を思い出し、額に汗を浮かべながら咳払いをして言った。「田中さん、まず落ち着いてください。」

「学長、東京大学の名誉は汚されてはなりません。高倉海鈴を解雇しなければ、皆が納得しません！」田中晴香は大声で言った。

副学長は頷きながら、汗を拭った。

田中晴香は高倉海鈴を軽蔑するように見て言った。「彩芽をいじめて、私に逆らったツケを払う時が来たわ！すぐにあなたが解雇されたニュースが東京中に広まるわよ！もう二度と顔を上げられないでしょうね！」

高倉海鈴は意味深な笑みを浮かべた。本来なら、このバカ女を相手にする気はなかったが、自分から虐められに来るなら容赦はしない。

その時、副学長が口を開いた。「高倉海鈴さんは大学入試を受けていない……」

……

二十分前。

藤原徹はソファに座り、悠々とお茶を飲みながら言った。「副学長のご子息の会社は、藤原家と取引の話を進めているそうですね？」

副学長も抜け目のない人物で、すぐに藤原徹の言葉の意味を理解した。

震える声で尋ねた。「藤、藤原社長、お、お教えください。私の息子が何か失礼なことでも？」

高野司は目を鋭く光らせた。「先ほど松下若旦那は何を話していきましたか？」

副学長は一瞬固まった。松下若旦那は高倉海鈴が大学入試を受けずに裏口入学で東京大学に入ったと告発に来たのだ。