第275章 結局誰がコネを使ったのか?

松下達也は彼女が困っているのを見て、眉をひそめた。「徹、なぜ夢子を困らせるんだ?奥さんを紹介したくないなら、それでいいじゃないか!私たちは帰るよ!」

八尾夢子は慌てて説明した。「徹、ごめんなさい。達也は性格が急いでいるの。」

高倉海鈴は彼らが慌てて去っていくのを見て、八尾夢子がこのまま去っていくことが信じられなかった。

せっかく藤原徹に会えたのに、きっと彼に近づこうとするはずなのに、今回はこんなに簡単に帰ってしまうなんて?

何か変だと感じずにはいられない。

藤原徹は彼らを全く気にせず、優しく言った。「行こう、授業の時間だ。」

高倉海鈴はカバンを背負って、「じゃあ、行ってきます。」

「うん、仕事が終わったら電話してね。」

高倉海鈴が入り口に着くと、大勢の人々が押し寄せてくるのが見え、その先頭には田中晴香がいた。

……

一方、八尾夢子は困った表情で言った。「達也、あなた衝動的すぎよ。彼女を通報するなんて……」

松下達也は冷ややかに鼻を鳴らした。「俺が言ったのは事実だ。彼女は大学入試を受けていない。東京大学で教える資格なんてあるはずがない。これは絶対に何か裏がある!」

八尾夢子は不安そうに言った。「でも徹はどうするの?」

「あの女が偽の学歴を使ったんだ。徹がこのことを知ったら、きっとあの女に嫌気がさして、蹴り出すだろう。」

「俺が通報したのは、東京大学の名誉のためでもある。」

八尾夢子は心配そうな様子を装って言った。「はぁ...まさか裏口入学したのが海鈴だったなんて...デザイン学部の人たちはみんなこのことを知っているわ。きっと彼女を許さないでしょう。私は...」

「夢子、あんな女は恥知らずだ。気にする必要なんてない!」

……

高倉海鈴は時計を見た。もうすぐ授業が始まる。あの群衆に関わりたくなかったので、急いで教室棟へ向かった。

しかし入り口に着く前に、田中晴香とその一行に遮られてしまった。

高倉海鈴は冷たい目つきで言った。「もうすぐ授業が始まります。どいてください!」

「笑わせるわね。あなたに授業をする資格なんてないでしょう?もうすぐ解雇されるのよ!」