第288章 殴られたいのか?

藤原徹は頭を掻きながら、ぶつぶつと呟いた。「兄さん、なんで隠れてるの?さっき、服を着てない女性を見たような…」

服を着てない?

藤原徹の喉仏が動いた。

高倉海鈴はハッとして、藤原明が言っている女性が自分だと気づいた。

彼女は自分の水着を見下ろし、声を荒げて叫んだ。「これのどこが服を着てないのよ?」

藤原徹「……」

彼は再び高倉海鈴にバスタオルを掛け、彼女の体が露出していないことを確認してから、安心して扉を開け、藤原明の襟首を掴んだ。

藤原明が困惑した表情を浮かべていると、首筋が締め付けられ、慌てふためいた。

「兄さん、兄さん、何するの?僕は海鈴さんがバスタオルを着ているのを見ただけだよ。」

バスタオルだけを見たなんて、よかった。

実は藤原明は前から渡道ホールでプールに入りたかったのだが、藤原徹に許可されなかった。今回やっとチャンスが来た。