八尾夢子も恥ずかしがることなく、堂々と微笑んで答えた。「はい、3年前に国際大会に出場し、期待に応えて優勝することができました。」
高倉海鈴は「ふーん」と声を上げ、藤原徹の耳元で小声で言った。「私の記憶が正しければ、3年前の国際バイオリンコンクールに私も出場したわ。」
「当時は四兄が私を申し込んでくれたけど、実力不足で決勝に進めなかったの。誰が優勝したのか気にしていなかったけど、八尾夢子が優勝者だったのね。」
その話題を持ち出した人が続けて言った。「八尾さんに一曲演奏していただけないでしょうか?」
高倉海鈴はその人を冷ややかに一瞥した。ああ、彼か...音楽家の佐藤敏隆、いつも四兄の足を引っ張ろうとする人物だ。
八尾夢子は微笑んで、少しも躊躇うことなく答えた。「私はただの一回の優勝者に過ぎません。自慢するようなことではありませんが、木村の祖父がよろしければ、お祝いの曲を一曲演奏させていただき、ご夫婦のご健康と末永いご多幸をお祈りしたいと思います。」