第337章 この娘は全然優しくない!

「涼介?涼介兄。」

高倉彩芽は優しく彼の名前を呼び、目には困惑の色が浮かんでいた。

藤原涼介は我に返り、高倉海鈴の言葉を思い出して、疑わしげに高倉彩芽を見つめた。「彩芽、どうして海鈴がこの八億円のことを持ち出したんだ?確か...」

高倉彩芽が答える前に、鈴木華子が冷ややかに鼻を鳴らした。「海鈴が彩芽を妬んでいるからに決まってるでしょう。このお金は全部彩芽が自分で貯めたものよ。何か問題でもあるの?」

藤原涼介は考え込んだ末、陸田おばあさまの言葉に納得した。彩芽はここ数年で多くのCMに出演し、会社からの収入もあるのだから、八億円を出せても不思議ではない。

ただ、海鈴は根拠もなく言い出すタイプではない。もしかして怒りに任せて適当なことを言ったのだろうか?

「涼介兄、私のことを信じてくれないの?」