第364章 音楽は芸術、一般人には分からない

「準決勝の時、みんなが高倉さんより良い演奏をしたということはないでしょう?でも藤原社長は当時の高倉さんは今より上手だったと言っていましたし、藤原社長が証明できるはずです。誰が彼女より素晴らしい演奏ができるというのでしょうか?」

「では、あの時の人たちはどうやって決勝に進んだのですか?八尾夢子さんはどうやってチャンピオンになったのですか?佐藤さん、説明していただけますか?」

会場は水を打ったように静まり返った。

皆、その裏側を理解していて、嫌悪感を露わにして佐藤敏隆を見つめた。

高倉海鈴は意味深な笑みを浮かべた。「みなさんにご指摘いただいて、当時のことで気になることを思い出しました。おっしゃる通り、今の八尾さんが既に実力が落ちた私にも及ばないのは、彼女がより大きく後退したからなのか、それとも当時の決勝に不正があったからなのでしょうか」