第383章 演技派になれなかったのが惜しい

高倉海鈴は号泣しながら叫んだ。「会長、どう言い訳しても徹はあなたの実の息子です。陸田進のために、自分の実の息子を殺すおつもりですか？たかが一区画の土地のためでしょう？譲ってしまえばいいじゃないですか！」

藤原徹は唇を固く結び、黙り込んでいた。

そのとき、河野峰尾が一行を率いて中庭に到着し、高倉海鈴の言葉を耳にした。

藤原俊介が陸田進のために、藤原徹を殺そうとするなんて、誰が想像できただろうか？

高倉海鈴は大声で泣き続けた。「会長、私には理解できません。なぜ陸田進一人のために、自分の実の息子にこんな酷いことができるのですか！もし本当に徹を殺してしまったら、あなたも必ず刑務所に入ることになりますよ！」

藤原俊介は我に返り、即座に怒鳴った。「お前...黙れ！」

高倉海鈴は構わず泣き叫んだ。「徹、もしあなたが殺されたら！私も一緒に死にます！」

周囲の人々は心臓が締め付けられる思いで、こそこそと囁いた。「藤原会長は怒り狂っているから、本当に...」

「藤原家のすべては社長が築き上げたものじゃないか？藤原家に何の資格があるというんだ？」

「父親が他人のために自分の息子を殺そうとするなんて？前代未聞だ！」

藤原俊介は外の人々に気付かず、高倉海鈴の泣き声を聞いて、いらだたしげに言葉を選ばずに言った。「藤原徹は私の息子だ。私が命を与えたのだから、取り上げる権利もある！」

高倉海鈴は悲痛な声で泣いた。「会長！徹が藤原家にこれほどの富をもたらしたことを思えば、どうか許してあげてください！あなたが徹を嫌うのは、彼があまりにも有能で、あなたの影さえも凌ぐほどだからで、それが陸田進の無能さを際立たせているからだということは分かっています。でも...」

「でも彼はやはりあなたの息子です。彼を殺すくらいなら、先に私を殺してください！もしそれであなたの怒りが収まるのなら、私がすべてを引き受けます！」

高野司は口角を引きつらせた。奥様は女優にでもなれば良かったのに。

とはいえ、奥様の言うとおりだ。藤原俊介は社長があまりにも優秀すぎて、藤原家と陸田進が無能に見えてしまうことに腹を立てているのだ。