第369章 数日後のジュエリー展示会

八尾夢子は松下達也の胸に縮こまり、陰険な笑みを浮かべた後、虚ろな目を上げた。

「達也……」

松下達也は優しく声をかけた。「夢子、目が覚めたの？」

「私、私はただ……」八尾夢子は涙をポロポロと流しながら言った。「休憩室に連れて行って。病院には行かなくていいわ。私は本当に二人の関係を壊すつもりはなかったし、第三者になるつもりもなかった。どう説明すれば、みんなが私を信じてくれるのかしら？」

「私はただ、海鈴の身分が徹にふさわしくないと思っただけ。彼はとても優秀な男性で、イケメンでお金持ち。最高の女性だけが彼の妻になる資格があるはず。」

「でも海鈴は田舎の女の子で、優しくもないし、才能もない。どうして藤原奥様になれるのかしら？」

「海鈴はいい子だけど、徹とは合わない。なのに、みんなは私が悪意を持っていると誤解してしまって。」

松下達也は怒りを爆発させた。「全て高倉海鈴が悪いんだ。彼女は君を妬んでいる。無能だから、君に当たり散らしているんだ！夢子！悲しまないで。数日後にジュエリー展があるだろう。高倉海鈴も参加するらしいけど、彼女にいいものが作れるはずがない。」

八尾夢子は突然、高倉海鈴と初めて会った時のことを思い出した。その時、海鈴にドレスを16着贈ったが、それには細工を施していた。しかし、全て見破られてしまった。

彼女は急に不安になった。以前、高野家の兄弟から高倉海鈴が山内正だと聞いたが、それは本当なのだろうか？

しばらく沈黙した後、彼女はほっとした。何を恐れることがあるだろうか？たとえ本当だとしても、どうということはない。高倉海鈴が山内正だとしても、ジュエリーデザインができるとは限らない。

でも自分は違う。自分にはジュエリーとアパレルの国際ブランドがあり、多くの商品は供給が追いつかないほどだ。でも高倉海鈴にはブランドがあるという話は聞いたことがない。

バイオリンが上手いからといって、何になる？ジュエリーやアパレルのデザインに関しては、高倉海鈴は自分にかなわないはず。

自分は国際的に有名なデザイナーで、若くて美しく、才能もある独立した女性。男性に依存して生きている高倉海鈴なんかと比べものにならない。

「海鈴も参加するの？ということは……彼女も作品を出展するの？」