第429話 兄貴は畜生野郎!

高倉海鈴は目を瞬かせ、そして頷いた。「はい」

藤原明「?」

なんだと?俺様がここにいるのに、見知らぬ男と二人きりで会うつもりか?藤原徹が知ったら大変なことになるぞ!

藤原明は即座に高倉海鈴を制止し、警戒心満面で言った。「俺も一緒に行く!」

アシスタントは困った顔をして「えーと...」

「御社の社長の噂は前から聞いていたんだ。社長にも会ってみたいんだが、ダメか?俺が高倉海鈴と一緒に行くのに何か問題でもあるのか?」

アシスタントはZRの社長が藤原徹だということも、高倉海鈴のアシスタントが東京で有名な藤原の次男だということも知らなかったため、真面目な顔で答えた。「申し訳ありませんが、社長は高倉さんだけをお呼びしています。ここでお待ちいただけますでしょうか。社長が高倉さんに危害を加えることはありません」

「構わない。彼も入れてやれ」

その時、応接室から冷たい声が聞こえてきた。アシスタントは少し驚いて、頷いた。「お二人とも、こちらへどうぞ」

アシスタントは二人を部屋に案内し、その後退室した。

仮面をつけた男が優雅にソファに座っていた。深灰色のスーツを着こなし、神秘的な威圧感を醸し出していた。

藤原明は警戒心を露わにしていた。

藤原徹は冷たい声で言った。「待っていろと言ったのに、聞けないのか?」

この声にどこか聞き覚えがあるような気がしたが、はっきりとは思い出せない。しかしその口調に藤原明は非常に不快感を覚えた。自分は藤原の次男なのだ。この世で藤原徹というクソ野郎以外に、こんな口調で話しかけてくる奴はいない。このZRの社長は何様のつもりだ、こんな生意気な態度を取って。

深く考えもせずに、すぐさま反論した。「俺が待とうが待つまいが、お前に関係ないだろ!それより聞きたいんだが、なぜ高倉海鈴だけを呼び出したんだ?男女二人きりで密室に籠もるなんて、何か企んでるんじゃないのか!言っておくが、変な考えは持つなよ!」

「高倉海鈴は既に俺の兄貴の嫁なんだ。お前が横取りしようなんて考えるな!諦めろ!俺の兄貴がどんな人間か知ってるのか?あいつはクソ野郎だぞ。お前が高倉海鈴に気があると知ったら、絶対に許さないぞ!警告しておくが、お前の末路は悲惨なものになる」

高倉海鈴「……」

藤原徹は目を細めた「……」

しばらくして。