第428章 川辺を歩き続ければ必ず靴が濡れる

八尾夢子は周りの疑わしい目を見て、思わず心が揺らいだ。「明……私、私は本当にそんなことしていません。あなたは私のことをよく分かっているでしょう。どうして私が海鈴を陥れるようなことをするでしょうか?海鈴とは少し誤解があったけど、私は彼女を傷つけるようなことはしません。それにこれは大会に影響を与えることですし、私は……」

「ただ田村さんとお話しているときに、何気なく海鈴との間に誤解があることを話しただけです。でも……でも悪意はありませんでした。ちょっと愚痴を言っただけで、田村さんがこんなことをするとは思いもしませんでした。本当に知りませんでした!」

「田村さん、私のためにしてくださったのかもしれませんが、これは間違っています。海鈴の名誉を傷つけ、大会にも影響を与えてしまいました……だから私も、材料を破壊した人を失格にすることに賛成です。」

「皆様、申し訳ありません。この件は私が原因で起きてしまいました。本当に申し訳ありません……」

田村浩の顔が一瞬で真っ青になった!

なぜ彼をこんな風に扱うのか、事が露見したら見捨てるのか?

彼は高倉海鈴のことを知らなかった。冷静になってみると、八尾夢子が常に高倉海鈴が自分をいじめていると言い、高倉海鈴に仕返しするよう暗示していたことに気付いた。なのに今、彼女は自分のために一言も良い言葉を言ってくれないのか?まるで全て自分が悪いかのように。

藤原明は密かに考えていた。これで八尾夢子のために罪を被る二人目だ。前回は八尾夢子の従兄で、今回は田村浩。次は誰になるのだろうか?

八尾夢子は自分の容姿と演技した弱さを利用して、男性の注目を集め、そして何気なく自分と高倉海鈴との確執を話し、これらの追っかけに自分の代わりに行動させる。

暴かれても、八尾夢子は道徳的な高みに立って非難し、知らなかったふりをすれば済む。彼女は依然として皆の心の中で純粋無垢な女神なのだ。

藤原明は田村浩が警備員に連れて行かれるのを見て、思わず冷笑した。

「夢子姐、今回もあなたは運が良かったですね。でも、川辺を歩き続ければ靴が濡れないはずがない。悪事を重ねれば、報いを受けることになりますよ。次にあなたのために罪を被る馬鹿は誰になるのか、私は本当に知りたいものです。」