八尾夢子がZR社長とつながりを持てば、もう各種コンテストに参加する必要もなくなり、むしろ大会から審査員として招かれ、さらには無限の人脈とリソースを手に入れることができるはずだった。
しかし、長い間調査を続けても、手がかりは全く掴めなかった。この男性は公の場に現れる時はいつも仮面を着用し、群衆の中に立つこともなく、常に椅子に座って全体を見渡していた。
そのため、多くの人々はZR社長が実は障害者で、立つことができず、仮面を着けているのは顔に傷があり、人前に出るのを恥ずかしがっているのではないかと疑っていた。
八尾夢子は、そんな障害を持つ人なら、きっと自分のような優しい女性を好むはずだと考えていた。真心で彼の心を動かし、世の中の温かさを感じてもらおうと思っていた……
しかし、まさかこのような状況で初めて対面することになるとは。ZR社長の自分に対する印象は大きく損なわれてしまうかもしれない。
この時、田村浩は体を震わせ、目には恐怖の色が満ちていた。彼は数歩後ずさりしながら、なおも必死に抵抗した。「材料室に監視カメラなんて……あるはずがない。高倉さん、でたらめを言うな」
ZR社長は眉をひそめ、表情には若干の苛立ちが見えた。助手はすぐに察し、田村浩に冷たい視線を向け、警告を込めて言った。「すぐに監視カメラの映像を確認しろ!」
スタッフは急いで監視カメラの映像を呼び出した。画面には今日の午後の時刻が表示され、元の監視カメラとは異なる角度からだったが、映像は非常に鮮明で、全員の顔がはっきりと確認できた。
本当に別の監視カメラがあったのだ!
「材料室には一つの監視カメラしかないはずでは?」
「今までなかったけど、今年本当に増設されたんだ!」
「見て!高倉海鈴だ!」
人々は画面を食い入るように見つめた。高倉海鈴が材料室に入り、該当区域から自分の材料を取り出す様子が映っており、彼女のブローチが誤って落ちる場面も映っていた。
「高倉海鈴は材料を破壊していない!」
「そうだ、彼女は灰霊珠に全く触れていない!ほら、田村浩が入ってきた!」
田村浩は体が硬直し、わずかに震えていた。
ありえない!監視カメラを一つ壊したのに、なぜまだ別のカメラがあるんだ?
「あっ!田村浩だ、田村浩が灰霊珠を壊した!」