「その通りです!他のデザイナーと彼女を比べることなどできません。今回の優勝は間違いなく彼女のものでしょう」
「竹屋さん、いかがでしょうか?」
会場の空気が一瞬で張り詰め、皆が息を潜めた。
竹屋さんはZRの社長であり、誰も彼のフルネームを知らず、その素顔を見たこともなかったが、デザイン界では、その名は誰もが知るところだった。
竹屋さんは卓越したデザイン力を持ち、デザイン界の半分を掌握していた。彼の認めを得ることは、すべてのデザイナーの生涯の夢と言えた。
八尾夢子は不安で落ち着かなかった。
竹屋さんはゆっくりと目を上げ、そのジュエリーセットを一瞥して、無関心そうに「ふむ」と言った。
「ふむ」とはどういう意味だろう?
他の審査員に同意しているということだろうか?
ジェイソンは喜びを隠せず、八尾夢子はさらに興奮していた。
楽屋のデザイナーたちも羨ましそうだった。「前の作品は竹屋さんは見向きもしなかったのに、八尾夢子が登場したとたん目を開いて見たわ。やはり八尾夢子は実力があるのね!」
「審査員全員が高得点をつけて、竹屋さんも気に入ったみたいだし、優勝は彼女で決まりね!」
「そうよ、これまでのデザイナーで八尾夢子のスコアを超えた人は一人もいないわ。残るは高倉海鈴だけど、彼女が八尾夢子に勝てるわけないでしょう?優勝は既に決まったも同然よ!」
高倉海鈴も八尾夢子の作品を見た。
実際のところ、まあまあといったところだった。確かにジュエリーは華やかさが必要だが、素材を詰め込みすぎると凌乱して美しさを損なう。それに、このデザインはどこかで見たことがあるような気がした。特に寶石のカットの形が、どこかで見覚えがあった。
高倉海鈴は少し考え込んだ後、何年か前に似たようなスケッチを描いたことを思い出した。その後どこかに紛れてしまったのだが。
八尾夢子のデザイン作品は会場の満場一致の好評を得て、降壇後、優しく微笑んで言った。「ジェイソンさん、今回はあなたのおかげでこんなに良い成績を収めることができました。本当にありがとうございます」
ジェイソンは得意げに頷いた。「何でもありません。私が参加すると決めた以上、遠山初美先生の顔に泥を塗るわけにはいきません。私たちは勝つしかないのです!」