第443話 デザイン画は遠山初美から贈られたもの!

そうよね、八尾夢子が高倉海鈴の作品を盗作する理由なんてないわ!

八尾夢子は国際的な有名ブランドの創設者で、彼女自身が優れたデザインの才能と実力を持っているのに、新人の作品を盗作する必要があるの?

八尾夢子の熱狂的なファンたちは激怒したが、高倉海鈴は相変わらず冷静に答えた。「何を興奮してるの?そうよ、あなたが新人の作品を盗作する理由なんてないわ」

八尾夢子の表情が和らぎ、少し困惑した様子で高倉海鈴を見つめた。

「だってあなたが盗作したのは、有名デザイナーの作品だからよ!」

高倉海鈴が手を振ると、大画面の映像が切り替わり、息を呑むほど完璧なデザイン画が現れた。そこには遠山初美のサインがはっきりと記されていた。

「あなたが盗作したのは遠山初美よ!これは遠山初美が4年前にデザインした『夢回』!」

会場が息を呑み、数秒の静寂の後、一気に騒然となった。

「遠山初美様?八尾夢子が遠山初美の作品を盗作するなんて?マジかよ!頭おかしいんじゃないの?遠山初美の作品なんて、あんな奴が盗作していいものじゃない!」

「見てよ、デザイン画に遠山初美のサインと日付があるわ。これは間違いなく遠山初美の作品よ!」

「くそっ!マジでありえない!八尾夢子に恥という概念はないのか!誰の作品を盗作するにしても遠山初美とは!よく国際的な有名デザイナーなんて名乗れるわね?もしかしたら今までの作品も全部盗作なんじゃない?」

遠山初美の名前が出た途端、人々の怒りは爆発した。

八尾夢子がコンテストに出品した作品は、遠山初美が4年前に作った『夢回』と酷似していた。多少の変更は加えられていたものの、遠山初美の作品の面影が明らかに残っていた。

「八尾夢子さんはさっきまで、盗作反対は自分のためじゃなくて、デザイン界全体の風紀のため、オリジナル作品の権利を守るためだって熱く語ってたけど、結局一番恥知らずな盗作者は彼女自身だったってことね!」

「本当に腹が立つわ!人の振り見て我が振り直せってやつね。さっきまで高倉海鈴さんを見下してたけど、結局高倉海鈴さんは盗作してないのに、あの偽善者の女こそが人の作品を盗作してたなんて!」

「八尾夢子、このクソ女はデザイン界から出て行け!」

八尾夢子の顔が真っ青になり、体が揺らいだ。