第440話 誰が誰のパクリ？

記者たちは直ちに高倉海鈴の前に駆け寄り、マイクを向けた。

「高倉さん、あなたの作品はジェイソンさんの作品の盗作だと認めますか？」

「その雑誌を知る人が少ないと思って、そのデザイン案を選んだんですね？見つからないと思ったんでしょう？」

「他人の作品を盗作して一位を獲得したことを後悔していますか？今後もデザイン業界で活動するつもりですか？」

記者たちの鋭い質問が次々と投げかけられ、高倉海鈴が答える間もなく、会場の無数のファンたちが彼女を罵倒し始めた。

「デザイン界にはこんなデザイナーは必要ない！出て行け！」

「高倉海鈴はチャンピオンの座に相応しくない！」

八尾夢子は周りの罵声を聞きながら、満面の得意げな表情を浮かべていた。

今度こそ高倉海鈴は社会的に破滅するはず！

周囲の罵声の中、高倉海鈴はゆっくりと目を上げ、何気なくマイクを受け取って、冷静に言った。「先に創作した人が原作者で、後から創作した人が盗作者、そういうことですよね？」

ジェイソンは冷ややかに鼻を鳴らした。「その通りだ！」

彼のデザイン案は3年前に発表されたものだった。製品化はしていなかったものの、デザイン案は紛れもない証拠として存在していた。

「海鈴さん、事実は明らかです。もう言い逃れはやめて、早くジェイソンさんに謝罪したほうがいい。彼は度量が広いから、あなたのことを咎めたりはしないでしょう！」松下達也が口を開いた。

八尾夢子も同調した。「海鈴、事態を大きくすることはあなたのためにならないわ。自分のことを考えないなら...彼のことを考えてよ！」

彼？藤原徹のこと？高倉海鈴は呆れて笑ってしまった。

彼女は大スクリーンに映し出された3年前のデザイン案を見上げた。皆の視線も彼女に続いて大スクリーンに向けられた。

突然、大スクリーンが一瞬暗くなり、そして一つの動画が表示された。

「先ほど皆さんもお聞きになった通り、ジェイソンさんも同意されました。先に創作した人が原作者だと。では、この動画をご覧ください。」

高倉海鈴の言葉が終わるや否や、動画の再生が始まった。

画面には下書きが映し出され、誰かがパソコンで絵を描き、修正を加えていく様子が映されていた。動きは流暢で細部まで丁寧だった。