第468章 二重の喜び

高倉国生は媚びへつらうような顔をして言った。「少々お待ちください。すぐに電話して呼び戻します。鈴木若旦那、今日から海鈴を家にお連れになって、お世話させていただきましょう。これからは若旦那のものですから、ご自由にお使いください。あの提携資金の件ですが...」

言い終わらないうちに、鈴木夫人が傲慢な態度で口を開いた。「たかが2億でしょう？うちの息子が喜ぶなら、いくらでも構いませんわ。ただし、あなたの娘が息子を満足させられるかどうかが問題ですけどね。」

高倉国生は頭を下げながら、久保朱里に目配せをした。

久保朱里は急いで言った。「鈴木若旦那、ご安心ください。私が海鈴にしっかり教えます。必ずお気に召すようにいたしますわ。私の次女の彩芽は藤原家の若旦那と婚約しておりまして、後ほど宴会を開きます。もしお三方にご都合がよろしければ、ぜひ宴会にもご参加いただき、その場で鈴木若旦那と高倉海鈴の婚約も発表させていただければと思います。」

鈴木響は高倉海鈴の魅惑的な容姿を思い浮かべ、小さな目を細め、下卑た笑みを浮かべた。「いいね！いいとも！」

……

午後、高倉家は別荘で宴会を開いた。

宴会に参加したのは高倉家と親しい付き合いのある人々ばかりで、宴会と言っても結婚の日取りを発表するためだけのものだった。

高倉国生は喜びに満ちた表情で、「本日はご多忙の中、ご参集いただき、誠にありがとうございます。最近、ネット上で様々な噂が流れておりましたが、幸い涼介と彩芽の結婚には影響ありませんでした。結婚式は来月5日に執り行われます。その際は、皆様のご臨席を賜りたく存じます。」

高倉彩芽は今や芸能界デビューの夢は潰えたものの、藤原若旦那と結婚し、将来は高倉家の事業を継ぐことになっているため、誰も彼女を軽んじることはできなかった。

「さらにもう一つ、めでたいお知らせがございます。」高倉国生は再び口を開いた。

「まさに双喜臨門、私の長女の海鈴も来月に結婚式を挙げることになりました！」

参列者たちは困惑した。高倉海鈴が結婚？彼女に恋人がいたなんて聞いたことがないが？

人々が首を傾げる中、高倉国生は声高らかに宣言した。「私の長女、高倉海鈴は鈴木家の若旦那、鈴木響と婚約を交わし、来月に結婚の運びとなりました。」

……