第521章 20万も出せるとは?

久保お父さんは表情を和らげ、「真美、お父さんが1000万円をあげるわ。お小遣いとして使いなさい。久保紫乃のような傍系の令嬢でさえ派手に使っているのだから、久保家の嫡系のお嬢様であるあなたが、彼女に負けるわけにはいかないでしょう。足りないと思ったら、もう1000万円追加してあげるわ」

「さっき高倉海鈴に20万円あげたのは、彼女の機嫌を損ねないためよ。真美、あなたはわかっているでしょう。お父さんの一番大切な娘はあなたなのよ。以前の映画の件で、あなたと青山博之との間に誤解が生じたけれど、必ず説明して解決しなければならない。私たちは帝京の青山家と良好な関係を築かなければならないの。これは久保家のビジネスにとって非常に重要なことなのよ」

久保真美は素直に頷き、得意げに笑った。やはり両親は自分を愛していると。高倉海鈴は血のつながりがあるだけの他人に過ぎない。

お父さんは自分に1000万円をくれたのに、高倉海鈴にはたった20万円のお小遣いしかあげなかった。これが全てを物語っている。

20万円なんて久保家にとっては、お父さんの靴一足か服一着の値段に過ぎない。自分の部屋の机だけでも数百万円するのに。高倉海鈴があんなに喜んで20万円を持って二階に上がっていく様子を見ると、本当に世間知らずだと思う。

久保真美は微笑んで言った。「安心してください、お父さん。私はパーティーで必ず良い印象を残します」

二階の寝室。

高倉海鈴は部屋に入るなり、キャッシュカードを無造作に机の上に投げた。

20万円か、久保統もよく出せたものだ。

さすが一家だ!

この父親は久保の奥様のような敵意も、久保真美のような陰謀も持っていない。むしろ彼女に対して悪くない態度を示している。しかし高倉海鈴は分かっていた。表面上は久保統が彼女に優しいのは、まだ利用価値があると思っているからだ。

青山家のパーティーで藤原徹の機嫌を取るために彼女を利用しようとしているのだ。

残念ながら、青山家は彼女の家で、藤原徹は彼女の夫なのだ!

久保家が彼女に勝てるはずがない。

翌日。

青山家が東京でパーティーを開催するという話は、上流社会で広まっていた。しかし今回は多くの人を招待せず、親しい友人や親戚だけを招待した。