「久保さん、一家だなんて、あなたが決めることじゃありませんよ。先ほど久保の奥様は、私の妻は久保家のお嬢様にふさわしくないとおっしゃいましたよね」と高野司が遮った。
藤原徹は久保統に一瞥もくれず、高倉海鈴の手を取って席に着いた。宴会場の中央には久保家の方々が気まずそうに立ち尽くしていた。
久保統は恐怖に満ちた表情を浮かべた。ようやく高倉海鈴が久保家を見下していた理由が分かった。彼女の後ろ盾が藤原徹だったからだ。ただ、なぜ藤原徹が高倉海鈴と結婚したのかが理解できなかった。
久保統は困惑した様子で高倉海鈴を観察し、その後、傍らで泣いている久保真美を見て、ため息をついた。
もちろん真美のことが心配だった。この娘はいつも高慢で、やっと好きな男性ができたと思ったら、その男性が自分の妹婿だったなんて。