第490章 話題に便乗する

「青山博之は単なる人気俳優というだけではなく、帝京の青山家の一人息子なのよ」久保真美は意味深な笑みを浮かべた。「私は自分の価値を十分に示さなければならない。私こそが久保家のお嬢様で、久保家に限りない栄光と利益をもたらせる唯一の存在だということを、皆に知らしめるわ」

久保紫乃は久保真美の妹であり、同時に彼女のアシスタントでもある。彼女は急いで写真を数枚撮影し、加工を施した後、久保真美の事務所のアカウントで投稿し、真美本人のアカウントもタグ付けした。

久保紫乃は首を傾げた。「青山博之さんがショッピングモールに来た理由は何なの?」

久保真美は軽蔑した表情で冷ややかに鼻を鳴らした。「きっと海外で上手くいかなくなって、誰かにショッピングモールのイベントに呼ばれたから帰ってきただけでしょう」

あの人のためのはずがない。

久保真美の眼差しが冷たくなった。もう事実を隠しきれないことは分かっていた。だから真相が明らかになる前に万全の準備をしておかなければならない。たとえ真実が明らかになっても、久保家は彼女なしでは立ち行かないはずだ。

それに、これまで両親と過ごしてきた時間は、見知らぬ人には敵わないはずだ。

……

高倉海鈴は長い間兄に会っていなかったので、興奮して飛び跳ねていた。青山博之が群衆に手を振ると、ファンたちは一瞬にして静かになった。

高倉海鈴は近づきすぎることなく、少し離れた場所から兄を見つめていた。兄は彼女の兄弟の中で最も落ち着いた性格で、最終的に芸能界に入ることになったのは、誰もが予想外だった。

その後、彼は徐々に芸能界から身を引き、家業を継いで、青山家の事業を見事に切り盛りしていた。

彼は帝京の青山家唯一の後継者で、落ち着いて手練れで、めったに笑顔を見せない。最も親しい人の前でだけ、かすかな笑みを浮かべることがある。

「すごい!このショッピングモールやばくない?青山博之を呼べるなんて!」

「青山博之って普段オフラインイベントには一切参加しないよね。映画の記者会見にも出ないこともあるって。噂では、すごい家柄のお坊ちゃまで、映画の出演料なんて気にせず、好きな作品だけを選んで出演するんだって。誰も彼に嫌なことを強制できないらしいよ」

「一体誰が青山博之を呼べたのか、すっごく気になる!」