第553話 魚は既に釣り針に掛かった

空気が再び静まり返った。

電話の向こうの人は驚愕し、口角が微かに引き攣った。「お嬢様、この依頼をどうされますか?私たちは...」

高倉海鈴は目を細め、八尾夢子は本当に執着深いと思った。毒を盛るだけでなく、暗殺者まで雇って、彼女を生かしておくつもりはないようだ。

しかし...八尾さんは本当に運が悪い。使った毒は彼女が自ら開発したもので、雇った殺し屋も彼女の部下だった。

高倉海鈴は率直に言った。「引き受けましょう!」

「それは...」

「彼女は私を殺したがっています。もし断れば、他の誰かを雇うでしょう。それなら私たちの部下を使った方が、安心できます。」

...

一方、八尾夢子の携帯にメッセージが届いた。相手はOKのジェスチャーだけを送ってきた。

彼女は嬉しそうに笑みを浮かべ、高倉海鈴の死の知らせを静かに待っていた。