第554章 婚約の発表

「彼は藤原家の後継者として陸田進を指名する発表ではなく、八尾夢子に関することだと思います」

「今、八尾夢子に『任務完了』と伝えたら、彼女は有頂天になるでしょうね。私が生きている姿を目の前で見たら、お化けでも見たように驚くんじゃないでしょうか!」

高倉海鈴は眉を上げ、八尾夢子のその時の表情が見たいものだと思った。

秋山明弘は微笑んで、こんな意地の悪い考えは海鈴にしか思いつかないと思った。

高倉海鈴は携帯を取り出し、八尾夢子にメッセージを送った。

……

藤原家。

八尾夢子は携帯を見下ろすと、霊峰閣の殺し屋から「任務完了」というメッセージが届いていた。それを見た瞬間、狂喜乱舞した。

任務完了……それは高倉海鈴が死んだということ。

高倉海鈴がついに死んだ。まるで信じられないような気分だった。徹を奪ったあの賤女がこんなにも簡単に死ぬなんて。所詮はたいしたことない相手だったということね。