藤原俊介は笑みを浮かべながら言った。「申し訳ありません。明はストレートな性格でして。徹と夢子の結婚が決まりましたので、結婚式の時には皆様に招待状をお送りいたします!八尾お父さん、どうぞ上がってください!」
八尾お父さんと八尾の奥様は笑顔でステージに上がり、マイクを手に取って話し始めた。「私たちの夢子は幼い頃から徹と一緒に育ち、二人は青梅竹馬です。今こうして結ばれるのも素晴らしい話です。藤原社長が既に結婚しているため、夢子の行動が不適切だと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、藤原会長も高倉さんを家族として認めないとおっしゃっているのですから、夢子と藤原社長の婚約に問題はないでしょう」
「夢子が藤原社長と結婚するのは、社長のためです。皆様が藤原社長の立場だったとして、礼儀も知らず、教養もなく、最も大切な目上の方への孝行もできない、しかも問題ばかり起こして、藤原社長の顔に泥を塗るような妻を我慢できますか」
参加者たちは頷いていた。
八尾お父さんは続けた。「私の娘は優秀なだけでなく、常に藤原社長のことを思い、すべてにおいて社長のことを第一に考え、必ず藤原奥様としての務めを果たすでしょう」
八尾夢子は恥ずかしそうに俯いて言った。「お父様、私はそれほど優秀ではありません。ただ、徹のことを海鈴以上に大切にします」
八尾の奥様が口を開いた。「私の娘は藤原社長と十年以上の付き合いがあります。社長があの女性と結婚したのは一時の衝動に過ぎず、今では後悔しているはずです。ただ、あの女性が社長に執着しているだけです。今回、藤原家が出てきて私の娘と婚約したことで、この問題は解決したと言えます」
八尾家と藤原家は、高倉海鈴がどれほど不満を持っていても、両家に対抗することはできないと確信していた。
そして藤原徹は高倉海鈴を可愛がっているようだが、それは一時的なものに過ぎず、我に返れば、必ず八尾夢子を妻として選ぶはずだと。
参加者たちは一瞬の沈黙の後、次々と祝福の言葉を述べ始めた。
八尾夢子は照れくさそうに笑いながら、「皆様、ありがとうございます。私と徹の結婚は——」
「藤原は八尾さんと婚約したことを知らなかったが、父上はなぜ一言も告げなかったのですか?」
冷たい男性の声が響き、参加者たちは一様に驚いた。