第573章 上下の身分の区別なし

西村奥様は娘の夏目彩美との関係が良くないと聞いていたが、久保真美が実の孫娘ではないと知った時、西村奥様はすぐに久保家の実の子を探し出すよう命じた。

道理から言えば、西村奥様は本物のお嬢様を大切にするはずなのに、なぜ久保真美にこんな貴重な物を与えたのだろう。平等に扱わず、久保家と西村家が久保真美を可愛がっていることを皆に示し、一方で実の子は大切にされていないことを表しているようだ。

高倉海鈴はその吐き気がする顔を見たくなく、藤原徹の手を引いて立ち去ろうとした。

その時、久保真美の驚いた声が後ろから聞こえてきた。

「海鈴?あなたもいらしたの?行かないで、私に会いたくないの?」

皆は久保真美の視線の先を見て、最後に高倉海鈴に目が留まった。彼女が噂の養女だったのか!

久保真美は唇を噛んで「妹」と呼びかけた。

高倉海鈴は足を止め、冷笑を漏らした。

久保真美って本当に下劣じゃない?虐められるのが好きなの?

久保真美の周りには六、七人の女性が立っており、最も近くにいたのは佐藤愛美だった。

佐藤愛美は高倉海鈴を見るなり、目が血走り、彼女を睨みつけた。

「高倉海鈴、耳が聞こえないの?真美が久保家のお嬢様として話しかけているのに、無視するなんて!お姉様に挨拶もできない田舎者、本当に礼儀知らずね!」

久保真美は優しく制止した。「愛美、そんな言い方はやめて。私と海鈴は二人とも久保家の娘で、身分の上下なんてないわ。それに私が姉として妹を思いやるのは当然でしょう。」

高倉海鈴:「……」

こんな偽善的な女がいるなんて!よく誰かが彼女の嘘を信じられるわね?

佐藤愛美は二人の本当の身分を知らないが、久保真美は自分でよく分かっているはず。それなのに身分の上下がないなんて言って、自分の度量の大きさを見せつけているだけ!

久保真美は数歩前に進み、悲しそうな表情で「妹、どうして私を見るなり立ち去ろうとするの?両親はとても心配してるわ。あなたは…」

「真美姉は玉品閣を貸し切りにしたんでしょう?私たちが立ち去らないと、姉妹愛を演じる芝居でも見せられるの?」

店長は慌てて説明した。「久保さん、申し訳ありません。この方があなたの妹さんだとは知りませんでした。」