第562章 殺すのは生ぬるすぎる

「夢子が間違っていたのは確かですが、彼女も徹のことを本当に愛していたのです。高倉さんも女性なのですから、愛する人を追いかけるために一時の衝動で非理性的な行動をしてしまったことを理解できるはずです。それに八尾家と藤原家は長年の付き合いがありますし、藤原徹の奥様としてこの件は不問にしていただけませんか。あなたの評判のためにもなりますよ」

陸田進は思わず笑ってしまった。

高倉海鈴にはよく分かっていた。藤原俊介は八尾夢子が刑務所に入れば、陸田進も巻き込まれることを恐れているのだと。結局、彼らは同じ穴の狢なのだから。

しかし、八尾家の人々と藤原俊介がこれほど厚かましく、公衆の面前で示談を求めてくるとは思わなかった。

「藤原会長、さすがは良き義父様ですね!八尾さんの罪は殺人請負という重罪ですよ。それを不問にしろとおっしゃるなんて、あなた方の目には殺人放火さえも許される罪なのですね」