久保統は振り向いて、久保真美の宴会場に客が溢れているのを見て、眉をひそめた。
西村家と藤原徹の面子がなければ、高倉海鈴の誕生日パーティーなど来るはずもなかった。今は宴会場に誰もいなくても、すぐに帰るわけにもいかず、少し苛立ちながら尋ねた。「誰が来たんだ?」
執事はすぐに答えた。「田村家の方々がいらっしゃいました。」
久保統の表情が和らいだ。「ようやく誰か来てくれたな。海鈴もそれほど恥をかかずに済む。負けても構わない、大人しくしていれば、まだ久保家の娘だ。田村家とは親しい間柄だからな、席に案内してくれ。」
久保統は藤原徹がこの件で自分に怒りを向けることを恐れていたので、一人でも来てくれる方がいないよりはましだと思っていた。
高倉海鈴側の客が着席したら、真美の誕生日会に行くつもりだった。