第597章 東京の笑い者

高倉海鈴は不思議そうに尋ねた。「私は怒ってないのに、どうしてそんなに腹を立てているの?」

「私が代わりに怒ってやってるんだ!くそったれ!」藤原明は思わず汚い言葉を吐いた。

「私は久保統から30%の株式を手に入れたのよ。換金すると十数億になるわ。誕生日パーティーに参加するだけで、久保真美に恥をかかせられるし、こんなにお金ももらえる。怒る理由なんてないでしょう」

藤原明は「……」と黙り込んだ。彼は今まで高倉海鈴がこんなにお金に執着していたとは気付かなかった。藤原徹の妻なのに、お金に困ることなんてあるのだろうか?

ただ、彼は不思議に思った。なぜ高倉海鈴は、誕生日パーティーで恥をかくのが必ず久保真美だと確信しているのだろうか。

……

誕生日パーティー開始の30分前。

青山博之は片隅に立ち、低い声で言った。「ほぼ全員揃いました」