第600章 広島の鈴木家

客たちが次々と立ち上がり、好奇心に駆られて向かい側を見つめた。山下涼介が高倉海鈴の宴会場に行ったというのか?

山下涼介が誰のために誕生日パーティーを開くつもりだったにせよ、今や高倉海鈴の宴会場に入ったということは、彼と高倉海鈴の関係が浅からぬものだということを意味していた。

もしかして……久保家の実の娘である高倉海鈴は、久保真美以上に人脈があるということなのか?

久保真美は冷たい表情を浮かべ、「山下さんは妹の誕生日パーティーに来られたのですね。妹は20年も外で暮らしていたのだから、知り合いがいても不思議ではありません」

誰も何も言わなかったが、皆心の中では天秤にかけていた。山下家は一つだけだが、久保真美側のすべての名家を合わせたよりも格が上だった。

そのとき、秘書が慌てて駆け込んできて、喜色満面で言った。「お嬢様、秋山家の方がいらっしゃいました。贈り物も届きました」