第617章 2番目の兄が来た

久保真美はその様子を見て、優しく口を開いた。「失礼いたしました。これで帰らせていただきます」

「お母さん、もういいんじゃない?妹はまだ私たちを許してくれそうにないわ。数日経ってからまた来ましょう」

執事は弱々しく演じる久保真美を見て、冷ややかに鼻を鳴らし、そのまま扉を閉めて三人を外に締め出した。

久保家の連中は、見るだけで吐き気がする。

……

数人は不満げに車に乗り込み、夏目彩美は二人の兄妹と共に涙を流した。「うぅ...私は海鈴の実の母親なのに!あの人は私に頭を下げて謝れだなんて、これが広まったら私の顔が立たないわ!」

久保真美も涙を流し、すすり泣きながら言った。「お母さん、ごめんなさい...全て私が悪いんです。私のせいで、お母さんがこんな辱めを受けることになって...本当は...私がもっと早く出て行くべきだったんです」

「真美!そんなこと言わないで、お母さんがあなたを手放すわけないでしょう!」夏目彩美はすぐに制止し、その後歯ぎしりしながら言った。「海鈴のために、あの人は私と離婚するだなんて!どうしてこんな厄病神みたいな娘を産んでしまったのかしら!彼女が戻って来る前は家の中がずっと平和だったのに、戻ってきた途端に家中が混乱に陥ってしまったわ!」

久保真美の目に一瞬の憎しみが浮かんだ。「でも...でも私たちにどうすることもできません。お父さんとお母さんの結婚生活のために、私たちは頭を下げて謝るしかないんです。私が海鈴に頼んでみます。跪いて許しを請います」

夏目彩美は彼女の手をしっかりと握り、目に心配の色を浮かべた。「真美、あなたに彼女に跪かせるなんてできないわ。もっといい方法があるの。きっと海鈴に私たちを許してもらえる方法よ」

彼女は声を潜め、久保真美の耳元で囁いた。

「でも...」夏目彩美は少し困ったように言った。「そうすると、あなたは久保家のお嬢様の身分を保てなくなってしまうわ。あなたに辛い思いをさせてしまうことになるけど...」

久保真美は涙目で、可哀想そうに言った。「構いません。彼女が私たちを許してくれて、お母さんの結婚生活が壊れなければ、私が少し辛い思いをしても構いません」

……

九天山荘。

数人がここに着いた時には既に午後で、空は少し曇っていた。