藤原徹は彼女が大切にしている感情を絶対に壊すことはないだろう。
さらに重要なのは、師妹が優しい男性を好むということで、彼女のためにその優しい姿を保ち続けるつもりだ。
一方。
「お兄さん、来てたのになんで前もって教えてくれなかったの!」
「誕生日プレゼントだ。」
鈴木薫は手にした黒い箱を高倉海鈴に渡した。「元々君の誕生日がいつか知らなかったんだ。今知ったから、この暗器をプレゼントとして贈る。」
高倉海鈴はそれを受け取り、笑顔で彼を見つめた。「これは久保家が決めた私の誕生日よ。実は母が別の日を決めていたの。そんなに急いでプレゼントを贈らなくても良かったのに、今度またプレゼントを用意しなきゃいけなくなっちゃうわ!」
「構わない。受け取って持っていてくれ。次はもっと良いものを用意するから。」
高倉海鈴は、この寡黙な二番目の兄が普段はほとんど話さないのに、自分に対してだけは言葉数が増えることを知っていた。心が温かくなり、ゆっくりと箱を開けた。「この暗器なら、師匠が既に一つくれたわ。」
鈴木薫は眉をひそめた。「師匠の暗器は私のほど優れていない。私の暗器は身を守れるだけでなく、金属探知機を回避でき、監視カメラにも痕跡が残りにくい。使用しても誰も証拠を掴めない。」
高倉海鈴は驚いて口を大きく開けた。
今日のお兄さんはどうしたんだろう、とても変だわ!こんなにたくさん話すなんて。
でも、やっぱりお兄さんは私のことをよく分かっている。人が多いところで暗器を使うのが好きだということを知っていて、だから誰にも気付かれない暗器を作ってくれたんだわ。悪い人たちを懲らしめるのに便利になりそう。
高倉海鈴は暗器を取り出し、注意深く観察した。何か薬の香りが漂っているようだった。「この匂いは何?今まで嗅いだことないわ。新しく開発したの?」
「秋山明弘が開発した。」
高倉海鈴は兄に聞くのは面倒だと思い、直接秋山明弘に電話をかけた。
秋山明弘は意地悪そうに笑った。「これが何に使えるか、絶対に当てられないよ。特別に君のために作ったんだ。君の周りにはいつも表裏のある女がいるだろう?表では優しくて弱々しい振りをして、裏では誰よりも冷酷な女たち。例えば久保真美みたいな。」
高倉海鈴の目が急に輝いた。「この薬って、中に入ると本心を話すようになるの?すごすぎ!やばい!」