第651章 露骨な誘惑

久保真美は恥ずかしそうに微笑み、わざと太ももを見せながら、甘えた声で言った。「藤原社長、私が間違っていたことは分かっています。何でもしますから」

藤原徹は眉をひそめ、かすれた声で言った。「君の足が私に触れている」

久保真美は目を伏せて確認すると、確かに自分の足が藤原徹に触れており、彼は感電したかのように避けていた。彼女は驚いたふりをして「あっ！私...わざとじゃないんです。藤原社長、妹には言わないでください。彼女が怒るのが怖いんです」

彼女の長年の経験から見て、たとえ藤原徹が本当に彼女のことを好きでなくても、このような露骨な誘惑には耐えられないはずだった。高倉海鈴がこのことを知って、藤原徹に詰め寄って大騒ぎを起こせば、藤原徹は必ず彼女を嫌うようになるはずだった。

藤原徹は低い声で「ない」と言った。

久保真美は表情を凍らせた。藤原徹はそれほど高倉海鈴が怒らないと確信しているのか？彼女は心配そうに「妹がこのことを知ったら、私があなたを誘惑したと思うんじゃないでしょうか。私...私は本当にそんなつもりじゃ...」

「彼女は私を責めたりしない」藤原徹は非常に確信していた。

仕切りの中にいた高倉海鈴はこれらの言葉を聞いて、不思議に思った。藤原徹がなぜそんなに確信しているのか。

次の瞬間、藤原徹は椅子にだらしなく寄りかかり、ゆっくりと言った。「そんな太い足で、よく私の足に押し付けられるね？何の自信があって私を誘惑するんだ？私の妻の体がどれだけ素晴らしいか知らないんだろう。彼女の素晴らしさを知った私が、どうして君なんかに目を向けるわけがない？私の妻は私の目を信じている。私が君なんかに興味を持たないことを、彼女は知っているんだ！」

オフィス内は静まり返り、空気さえも凍りついたようだった。

久保真美の顔から笑みが消え、目は驚きから怒りへと変わった。彼女は藤原徹がここまで彼女を貶めるとは思ってもみなかった！

以前の藤原徹は気性が荒くても、こんなに攻撃的ではなかった。しかし今の彼は毒舌で邪悪で、まるで別人のようだった。

藤原徹は軽く嘲笑して「久保さん、まだ帰らないのか？」

久保真美は心の中の怒りを抑えながら、しおらしく言った。「藤原社長、私は本当にそんなつもりじゃありませんでした。今日来たのは許しを請うためだけです。私を許してくれるなら、何でもします」